ハンセン病 - 医学史と社会の対話

Tagged
精神疾患とアート その3 飯山由貴さんのインタビュー<後編>/鈴木 晃仁(慶応義塾大学)・飯山 由貴(アーチスト)
■「湯気 けむり 恩賜」(2013)  2013年の3月に東京芸大大学院を修了し、同年の9月に一つの個展を行った。[図4] 図4「湯気 けむり 恩賜」2013年  修了制作は大正時代に制作されたスクラップブックを起点に取材をし、いくつかの物のネットワークを表した作品であったが、断片性が強調されるスクラップブックの要素の...
読みながら考える―『麦ばあの島』にみるハンセン病と家族関係、そして教材としての可能性<後編> /田中キャサリン(大手前大学)
Click here for an English version. >> 岡山県の長島愛生園を訪れた大手前大学の学生たち(2017年5月)  前編では、『麦ばあの島』の物語としての複雑さや豊かさについて見てきました。後編では、この作品で、冒頭に予期せぬ妊娠と別れにさらされた、まだ分別もつかない大学生の聡子...
読みながら考える―『麦ばあの島』にみるハンセン病と家族関係、そして教材としての可能性<前編><br>/田中キャサリン(大手前大学)
Click here for an English version. >>  2001年、ハンセン病に関する医療政策が人権を侵害したと主張する元ハンセン病患者のグループが、日本政府に対して起こした訴訟に勝訴しました。この勝利は、ハンセン病療養所入所者達の何十年にも及ぶ社会的、政治的活動の集大成でした。しかし...
医者として、文学者として――中原呉郎とハンセン病療養所の同人作家たち /佐藤 健太
 中原呉郎というひとをご存知でしょうか? 『山羊の歌』『在りし日の歌』などで著名な詩人・中原中也の弟です。  中原呉郎は1916年に山口県吉敷郡(現在の山口県山口市)に生まれました。中原家は代々開業医の家系で彼は五男でした。1938年に長崎医科大学に入学し、1942年に医師免許証を取得します。2ヶ月間見習士官をつとめた...
『病短編小説集』 書籍紹介/石塚 久郎(専修大学)
『病短編小説集』(平凡社ライブラリー・2016年) E.ヘミングウェイ、W.S.モームほか【著】石塚 久郎【監訳】 価格 ¥1,512(本体¥1,400)  愛や戦争は詩、演劇、小説のテーマになるのに病気が文学の主要テーマのひとつにならないのはおかしいわ、と嘆いたのは20世紀イギリスの小説家ヴァージニア・ウルフです。作...
企画展レポート3- ハンセン病が語られるときの揺らぎをめぐって /高林 陽展(立教大学)
草津聖バルナバ教会・リーかあさま記念館  そのようなフィールドワークのさなか、いささか想定外のことに出くわした。フィールドワークで訪れた聖バルナバ教会で、草津にある国立ハンセン病療養所栗生楽泉園の男性入所者Aさんにお話を伺ったときのことである。Aさんは、草津とハンセン病のかかわりについて話してくださった。Aさんの語りは...
企画展レポート2- 草津町とハンセン病の歴史をたどるフィールドワークに参加して/パク ミンジョン
 戦前、ハンセン病患者が集まり暮らしていた、今はなき湯之沢地区を案内してくださると聞き、「草津町とハンセン病の歴史をたどるフィールドワーク」に参加してきました。  草津町の一画にあった湯之沢地区は湯治に集まったハンセン病患者と彼らを支える産業が一体となり、やがて行政にも認められた自治集落として発展した他に類を見ない町で...
企画展レポート1- 「ハンセン病と文学展」読書会の記録 /星名 宏修(一橋大学)
ハンセン病文学全集〈第1巻〉小説1(皓星社、2002年) 加賀 乙彦(編集) 価格¥5,184  1930年生まれの沢田さんは、10歳で発病し翌年に楽泉園に入所しました。ちなみに沢田さんが亡くなったのは、この読書会から9年前の2008年10月23日とのこと。偶然とはいえ著者の命日の前日に読書会が開かれたことになります。...