芸術 - 医学史と社会の対話

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精神疾患とアート その3 飯山由貴さんのインタビュー<後編>/鈴木 晃仁(慶応義塾大学)・飯山 由貴(アーチスト)
■「湯気 けむり 恩賜」(2013)  2013年の3月に東京芸大大学院を修了し、同年の9月に一つの個展を行った。[図4] 図4「湯気 けむり 恩賜」2013年  修了制作は大正時代に制作されたスクラップブックを起点に取材をし、いくつかの物のネットワークを表した作品であったが、断片性が強調されるスクラップブックの要素の...
精神病院から生まれたアートと体験型鑑賞プログラム /高林 陽展(立教大学)
 7月20日(土)、2019年度第1回ヒストリー・カフェ「精神医療の歴史」を開催した。このイベントは、文字通りコーヒーとお菓子を手もとにおきつつ、歴史家と参加者たちが、精神医療の歴史というテーマについて語りあうというカジュアルさを前面にだしたものである。2018年から開催している、このイベントも今回で5回目をむかえた。...
「自傷他害のおそれ」という概念を問い直す<br>──国際ワークショップ「精神医療の「過去」と「現在」を展示する-医学史博物館と美術ギャラリーの社会的役割をめぐって-」に参加して── /兵頭 晶子(歴史学研究者)
 2018年9月17日、慶應義塾大学日吉キャンパスで開かれた、標記のシンポジウムに参加した。問われていることは、深く、大きかったように思う。このワークショップは、単に歴史や過去にはとどまらない、今の私たちに関わる問題を、根底から問いかけている。  戦後日本において、「患者は監置され、文明は進歩する」とでも言うべき逆説的...
国際ワークショップ 精神医療の「過去」と「現在」を展示する-医学史博物館と美術ギャラリーの社会的役割をめぐって-
タイトル 国際ワークショップ 精神医療の「過去」と「現在」を展示する -医学史博物館と美術ギャラリーの社会的役割をめぐって- 日時 2018年9月17日(月・祝)午後1時~午後5時 ‐終了‐ 会場 慶応義塾大学 日吉キャンパス 来往舎 シンポジウムスペース アクセス > 入場料 無料・事前申し込み不要 ■プログラ...
科学とシェイクスピア、そして翻訳の困難~『PHOTOGRAPH 51』/北村 紗衣(武蔵大学)
観劇日:2018年4月6日 ロザリンド・フランクリンと作品の背景  アナ・ジーグラ作『PHOTOGRAPH 51』は、DNAの構造解明につながる研究を行ったユダヤ系イギリス人の女性結晶学者ロザリンド・フランクリンの生涯を扱った芝居だ。もとの台本は2008年に書かれ、アメリカなどで数回上演されたのち、2015年にマイケル...
精神医療時代の芸術のために: 「精神医療と音楽の歴史」講演会参加記 /坂本 葵
 アドルフ・ヴェルフリ(Adolf Wölfli, 1864-1930)という、世界的に有名なアール・ブリュットの芸術家がいる。統合失調症の診断を受けてから生涯を精神病院で過ごしたヴェルフリは、病室で奇想天外な絵を描き始め、独自の形態語彙でノートを埋め尽くし、詩を書き作曲に没頭し膨大な作品群を残した。さて今年の春、ヴェ...
精神疾患とアート その2 中村史子さんのインタビュー<後編>
■飯山由貴との出会い  2014年の秋に東京のギャラリー WAITINGROOMにいった。東京にはたびたび仕事や調査で行くし、そこで訪問するギャラリーは自分でピックアップしている。WAITINGROOM は、気鋭の新しいギャラリーとして注目していた。そこで飯山の作品を観た。飯山の作品をこれまで直接みたことはなく、また、...
精神疾患とアート その2 中村史子さんのインタビュー<前編>
 飯山由貴さんは、2014年に開催されたWAITINGROOMでの展示に続き、2015年には名古屋市にある愛知県美術館で展示を行った。名古屋の展示を企画したのは学芸員の中村史子さんである。中村さんは、WAITINGROOMのギャラリーで飯山さんの作品に出合い、2015年の夏から秋にかけて飯山さんの作品の展示を行った。中...
精神疾患とアート その1 芦川朋子さんのインタビュー<後編>
■飯山由貴との出会いとその作品の意味  毛利悠子の展示とともに、芦川は、日本のアートシーンの中で、革新的な役割の中心を担うようになった。その中で、数多くの作家と関係を持つが、芦川が次に発見したのが、当時東京芸術大学の大学院生であった飯山由貴である。飯山が東京芸大の大学院を修了する展覧会のとき、飯山自身は油絵の学生であっ...