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精神疾患とアート その1 芦川朋子さんのインタビュー<後編>

■飯山由貴との出会いとその作品の意味  毛利悠子の展示とともに、芦川は、日本のアートシーンの中で、革新的な役割の中心を担うようになった。その中で、数多くの作家と関係を持つが、芦川が次に発見したのが、当時東京芸術大学の大学院生であった飯山由貴である。飯山が東京芸大の大学院を修了する展覧会のとき、飯山自身は油絵の学生であっ...

看護の歴史研究と社会との接点について-博士後期課程・分野別専門科目「理論看護学Ⅰ」での経験をふまえて- ...

 平成29年6月24日に、兵庫県立大学看護学研究科の坂下玲子先生が担当されている上記科目で看護史を講義する機会を頂戴した。  授業の出席者は、坂下先生の他、同研究科の博士課程の学生の方、看護大学の教員の方であった。私にとって、看護師資格を持つ方々の前で自身の研究を報告することは初めてであり、大変貴重な経験であった。  ...

デイヴィッド・ライト著(大谷 誠 訳)『ダウン症の歴史』 書籍紹介/大谷 誠(同志社大学)

『ダウン症の歴史』 (明石書店・2015年) 価格¥4,104(本体¥3,800) デイヴィッド・ライト【著】/大谷 誠【訳】/日本ダウン症協会【協力】 書籍紹介 /大谷 誠(同志社大学 人文科学研究所 嘱託研究員)  今から150年ほど前のイギリスで、ダウン症の医学的分類がジョン・ラングドン・ダウン医師によって行われ...

『病は気から』を病院で読む /鈴木 晃仁(慶應義塾大学)

 SPAC静岡県舞台芸術センター(Shizuoka Performing Arts Center)が、モリエール原作の戯曲『病は気から』を2017年の10月に上演する。その台本を病院で読み合わせる「リーディング・カフェ」に参加した。6月29日の夕刻7時から9時半くらいまで、場所は静岡市の浜本整形外科医院の待合室。  S...

ドイツ語圏の医学史博物館めぐり /梅原 秀元(慶應義塾大学非常勤講師)

 明治時代を代表する作家で陸軍軍医でもあった森鴎外や、結核菌を発見した細菌学者のロベルト・コッホの最も重要な研究パートナーだった北里柴三郎が医学を学び研究した地が、ドイツのベルリンでした。鴎外も北里も、ベルリン大学(現在のフンボルト大学)医学部で当時最先端と言われたドイツの医学を学びました。医学部キャンパスは、現在も、...

精神医学と芸術 ―飯山由貴さんのイマジネーション /塚本 紗織(慶應義塾大学)

 みなさんは幻覚を見たことがおありだろうか。たとえあったとしても、はっきりそう答えられる人は少ないであろう。幻覚は明確な狂気の症状であり、狂気だと見なされるのはこの社会においてまだまだ脅威である。しかし、幻覚を見たことを堂々と開示し、なおかつそれによって社会的な名声を得ることができる人々もいる。芸術家だ。  ゴッホを持...

第90回 ハンセン病学会

第90回日本ハンセン病学会総会・学術大会が、「過去そして今を、未来に」をメインテーマとして、開催されます。 2017年6月9日(金)・10日(土) ― 終了 ― 会場:国立療養所菊池恵楓園 〒861-1113  熊本県合志市栄3796 【プログラムより抜粋】 特別講演1:6月9日(金)  15:00~16:00 猪飼隆...

東京都立松沢病院での「私宅監置と日本の精神医療史」展-企画・展示者としての舞台裏からの報告- /橋本明(...

 2014年度から「歴史理解にもとづく精神保健福祉教育プログラムの開発」という研究をはじめた。その一環として「精神医療ミュージアム移動展示プロジェクト」なるものを行っている。  構想の初期段階で、精神保健医療福祉関係者の何人かにこのプロジェクトについて意見を聞いてみた。「それはいいですね、歴史は大切ですからね」という、...

日本医史学会月例会

日本医史学会は、古くは1892年(明治25年)から始まる、非常に歴史のある医学史の学術団体です。 その医史学会では、原則として、毎月第4土曜日午後2時より、順天堂大学において月例会を開催しています。聴講には制限なし、興味のある方は誰でも参加できるオープンな会です。 詳しくは、医史学会月例会のウェブサイトからご確認くださ...

ウィリアム・バイナム『医学の歴史』(丸善出版、2015年)

医学の歴史 (サイエンス・パレット) (丸善出版、2015年)価格¥1,080 ウィリアム バイナム (著),‎ William Bynum (原著),‎ 鈴木 晃仁 (翻訳),‎ 鈴木 実佳 (翻訳)  本サイトの運営メンバーである鈴木晃仁教授(慶應大学)の共訳書、『医学の歴史』(ウィリアム・バイナム著)が昨年刊行さ...

医学史のアウトリーチについて /鈴木 晃仁(慶應義塾大学)

 1980年代から医学史が学術として目覚ましい発展をとげたあと、2000年代から、医学史の研究成果を、学術的な研究者以外の人々に伝える方法が発展して定着している。この動き全体を、英語圏では「アウトリーチ」と呼び、医学史の学術研究にとって、新しい重点的な課題となっている。そのアウトリーチを日本で先駆的に行い、実績を上げる...